第49章 夜会
「その隙に付け込むような男を―――――――部屋に入れてはいけないよ。」
「え………。」
ふわふわした頭で、視界もゆらぐ。
自分が酔っているだけなのかと思ったけれど、確かに私の身体は宙に浮いて、ふわふわのベッドと思わしき場所に降ろされた。
「え、え。なにもしないって、いった――――――。」
「―――――思い返してごらん?君の『何もしないと約束して』に対して、俺はなんと答えた?」
「………『はは、しないよ。』……………!!!」
「意志疎通って難しいな?ナナ。」
「や、まって、ほんとに………だめ、です………そんな、つもりじゃ………。」
マズい状況だということは分かった。でも力が入らなくて、鼓動が早くて、頭も回らない。
「リヴァイにも言われなかったか?―――――君のだめ、は煽ってるようにしか聞こえない。」
「――――――っ………ん………ゃ………っ………!」
大きな身体が私の上に覆いかぶさり、すごい圧迫感だ。
それに加えて当たり前のように唇を塞がれて、息もできない。
興奮と、高揚と、羞恥と、自責と、罪悪感と――――――色々なモノが私の中を駆け巡る。それでなくても今日は色んなことがありすぎて、もう私の頭の中はパンク寸前だった。
お酒を飲んでいたこともあり、酸素をうまく吸えず、その体温と色情を含んだ空気に思考が機能しない。
受け入れてしまえば楽かもしれないぞと小さな悪魔が囁いたけれど、その悪魔は睡魔という別の悪魔に負けてしまったようだ。