第49章 夜会
「そういえば……エルヴィン団長が―――――思ったよりライオネル公爵に対して大人げなかったのが面白くて。笑っちゃいそうになりました。」
「そうだな、ちょっとやり過ぎたかな。」
「―――――もっとそつなく、大人な対応をされるものだと。」
「―――――最初はその予定だったんだけどね。―――――まるで奪還計画が大成功だったような口ぶりで話すのが、勘に障った。」
その口調がまるでリヴァイさんのそれのようで、驚いた。
「まぁ彼らにとっては、人口を予定通り減らせて大成功だったのかもしれないが。」
「―――――勘に障ったから、意地悪したんですか?」
私はふふっと笑った。
「そうだよ。俺は案外子供なんだ。みんなが買いかぶっているほど大人じゃない。」
「………あ、俺って言った。」
「あぁ、許してくれ。今は団長じゃなく、ただのエルヴィン・スミスとして君とこうしているのが楽しい。」
「―――――私も、楽しいです。エルヴィン……さんの、新しい一面を知れるのは。」
私の言葉にエルヴィンさんは少し嬉しそうに俯いた。
口が慣れず、なんだかとっても違和感があるけれど、それもまた悪くない。
「それより―――――ナナが酒を飲むのが意外だった。よく飲むのか?」
「いえ、リヴァイさんに教えてもらって……最近、少しだけ飲むようになりました。」
「妬けるね。あいつはブランデーかウイスキーばかりだろう?」
「………そうなんですか?」
「………何か分からずに飲まされているのか?」
「そうですね。今度聞いてみます。」
「危険すぎるぞナナ。どこまで隙だらけなんだ君は。」
グラスの中のワインが無くなりかけた頃、私はとてもふわふわしていた。
リヴァイさんにお酒を教えてもらったあの時のように。