第49章 夜会
「―――――お父様、私は大丈夫。頑張るから。お体に気を付けて。」
「―――――ああ、ナナ。本当に強く、美しくなった――――――クロエに、生き写しだ。私の自慢の娘だよ。頼むから、死なないでくれ………お前の居場所は、私たちの家にもあるのだから――――――。」
その言葉に涙が滲む。
父がその涙を小さく拭って微笑んだ。
調査兵団のナナとして初めて相対して、面と向かって受け入れてくれたことが、嬉しかった。
父との場を後にして、思わずまだ滲む涙を堪えられずにいると、エルヴィン団長が私の顎に指を添えて上を向かせ、真っ白なハンカチでその目じりを押さえた。
「―――――涙を見せないでくれ、それ以上悩ましい顔をされたら、たまらない。」
「―――――っ………。」
演出だと分かっていても、心臓を鷲掴みにされるような感覚を覚える。
きっと、少しだけどお酒も入っているからだ―――――と自分に言い聞かせた。