第49章 夜会
「――――いえ、聡明さと柔軟さ、そして人類の為に戦う強い意志を以って、私たちを支えてくれています。彼女は調査兵団に不可欠な存在です。さぞかしご不安でしょう、ご令嬢を私たちに預けて下さっていること、心より感謝致します。」
「――――そうですか、それは……父として――――――とても喜ばしい。ナナ、しっかり励んで、お前のすべきことを精一杯やりなさい。」
「―――――はい、お父様……!」
父の目が、優しく力強く私のことを肯定してくれる。
「だがいつか――――――もし、私を、ロイを許してくれるのなら――――――………。」
「…………?」
「―――――いやいい、このめでたい席で湿っぽい話はよそう。………エルヴィン団長、どうか娘を、宜しくお願い致します。」
「はい。お任せください。」
エルヴィン団長は父の目を真っすぐに見て誠心誠意の返答をしてくれた。
「そういえば―――――今日はロイ氏はご不在ですか?」
「あぁ、そうなのです。今は学業と研究に忙しくしていて、こういった場は控えるようにしています。何か言伝がありましたか。」
「はい、奪還作戦でもお世話になり、更には事後の疫病についてはロイ氏の英断と俊敏な行動でここまで事なきを得たと、ご令嬢から聞いています。一言御礼を申し上げたかったのですが―――――。」
「有り難いお言葉です。彼も報われる――――――必ず伝えましょう。」
「ありがとうございます。」
再び握手が交わされ、その場の終わりを迎えたが、私は思わず父の胸にもう一度抱き着いて抱擁を求めた。