第49章 夜会
夜会が始まり、生演奏の音楽が流れる中、豪勢な料理やお酒を伴ったパーティーが始まった。
人だかりの中心にいるのは、ライオネル公爵家を初めとした、王政の中心にいる貴族の面々だ。
あの人だかりにいる間しばらくは、ダミアンさんも身動きがとれないだろう。そう思うとふっと気が緩む。
「――――ナナ、来ていたのか。」
エルヴィン団長ではなく、私を呼ぶ聞き慣れた声に振り返ると、そこには父の姿があった。
「お父様。」
私の一言を聞いたエルヴィン団長は一歩下がり、小さく耳打ちをした。
「――――ナナ、ぜひ紹介してくれ。」
「はい。」
父と軽く抱擁を交わし、エルヴィン団長に目をやった。
「――――お父様、紹介させてください。私が属する調査兵団の、エルヴィン・スミス団長です。」
「初めまして。エルヴィン・スミスと申します。ご令嬢には、補佐官を務めていただいております。」
「こちらこそ。リカルド・オーウェンズです。娘が大変お世話になっています。――――頑固で気の強いところがありますが―――――……ご迷惑をかけていませんか。」
父とエルヴィン団長が固く握手を交わした。