第48章 夜会前夜 ※
「リヴァイの生きる意味は、ナナを守ることなんだって、そう言ってた。でも今リヴァイの生きる意味が、また変化しつつある。もっともっと、大きなものに。」
「………はい。」
「リヴァイも、ナナも、エルヴィンも、私も………世界もまた変化する。目まぐるしい変化の中で最終的に行動を決めるのは、自分の気持ちだと思う。」
「………自分の、気持ち……。」
「知ってる?最も強い生き物は、環境に合わせて自分が変化・進化する生き物なんだよ。」
ハンジさんは優しい目をして、私を諭す。
「気持ちの変化に嫌悪感を抱かなくていい。素直にいること、それをリヴァイ自身も望んでいる。――――まぁ、所構わずナナを食べちゃうくらい、想いを抑えきれないこともあるみたいだけどさ。」
ハンジさんは眉を下げて笑った。私も笑った。
「それにね、私はリヴァイが大切だし、そして私を信じてその力を最大限に引き出してくれるエルヴィンのことも同じように大切なんだ。だから、私にとってはナナがどちらに転んでも安心だし、嬉しいってわけ!」
「…………。」
「ナナにとって、彼ら以上の男がいるとも思えないしね。」
「それは……はい、確かにその通りだと思います。」
「――――調査兵団に来てくれてありがとう、ナナ。」
「――――ハンジさん、またハンジさんのお話、たくさん聞かせて下さい。」
「もちろんだよ。」
ハンジさんは私の髪を美しく結い整えて、優しく笑ってくれた。
大切な大切な人。
私の不安定に渦巻く胸中に、いつも光を射してくれる。
彼女のことを私も守りたい。力になりたい。
私の中に熱い想いが滾った。