第48章 夜会前夜 ※
リヴァイさんの優しさは知っているつもりだったけれど、ハンジさんはさらにリヴァイさんの心の内をよく理解していて、私はハンジさんとリヴァイさんが培ってきた絆の深さを知りたいと思った。
「リヴァイさんは入団時、すごく荒れていて手がつけられなかったと聞きました。ハンジさんは―――――リヴァイさんの心にどうやって、触れたんですか………?」
「ん?あぁ……まぁ私はこんなんだからさ、もちろん入団したてのリヴァイに興味深々で、その強さの秘密が知りたくてやたらと付いてまわってたのはあるけど。」
ハンジさんはふふっと懐かしそうに笑って、私の髪を結いながら語りだした。
「そう、最初は私が興味のあまり毎日のように話しかけてはうざがられてさ。でも――――、しばらく経ってリヴァイが折れて、ぽつぽつ話してくれるようになった。それから、私の背中をリヴァイが押してくれたことがあってね。あれはとても救われたな。」
「………聞きたいです、そのお話。」
「長くなるよ??」
「大好きなお二人のことをもっと知りたいので、大歓迎です!」
ハンジさんは私の髪を様々な形で結い上げていく。普段は簡単なまとめ髪しかしない彼女だったから、すごく意外だった。
「―――――私の家は、王都の言わば―――貴族の端くれでね。貴族と言っても―――娘を有力者に嫁がせては立場を保ってる、なんの力も武器も持たない家なんだけど。」
ハンジさんの身の上話は噂でも聞いた事がなく、語られる言葉に聞き入った。
「私も当たり前のように嫁ぎ先を決められて、それなりの学力とお行儀やお作法を刷り込まれて、それはそれは窮屈な幼少期だった。だからナナの立場や生い立ちはなんとなくだけど想像ができて、余計に力になりたい、助けてあげたいと思うのかもね。」