第48章 夜会前夜 ※
「―――――こういうことだったんだ………。」
「あ?」
状況を掴めず不機嫌そうに腕を組むリヴァイさんが目の前にいる。
ドレスが届いた日、ハンジさんからドレスを持って夜に研究室に来るように言われた。
ウエストの詰めが身体に沿うか試着を兼ねて、髪の結い方も練習しておこうね、と。
なんの疑問も抱かずに約束の通り研究室に行くと、ドレスに着替えることを指示されて、ハンジさんは部屋を出た。
着替え終えたところで扉をノックする音が聞こえたので、ハンジさんが戻ってきたと思って扉を開けたら、今この状況だ。
「―――――あの、確認ですが、ハンジさんに用事ですか……?」
「あぁ、クソメガネに呼び出された。髪の結い方がどうのこうのと言っていたが……なんでお前はこんなところでそんな恰好してんだよ。」
私は頭を抱えた。
―――――ハンジさん。リヴァイに見せてやりたい、を実行したんですね……。
「ご、ごめんなさい……あの、夜会に着ていくドレスが届いたので………髪の結い方をどうするかハンジさんに相談しようと思って……いたのですが………。」
「―――――それでなんで俺がここに呼ばれたんだ。」
「ハンジさんが――――――『リヴァイに見せてやりたい』と言っていたので、多分―――――。」
「―――――クソメガネは、俺を呼び出してお前のこの姿を見せたかったということだな?」
「――――はい……。あの、お忙しいと思うので……どうぞお気になさらず、髪は自分でなんとか――――――。」
言いかけた途中でリヴァイさんは部屋に入り、後ろ手で扉を閉めて鍵をかけた。