第47章 繙
「―――――労ってくれるんじゃ、ないんですか?」
蕩けた目で俺を見上げて、ねだるように俺の頬に手を伸ばした。
「どうしろと?」
「――――撫でて、欲しいです。」
言われた通りに頭をなで、その髪に指を通す。
柔らかく細いその髪を撫でていると、俺の手を捕まえて掌に顔を摺り寄せてくる。
「―――――猫みてぇだな。」
「―――――リヴァイさんの膝の上を、腕の中を一生独り占めできて―――――この残酷な世界に立ち向かう術も持たず、命尽きるまでただリヴァイさんの横で、愛し愛されるだけの――――――猫に、なりたい。」
その言葉にはナナの本音が混ざっていた。
逃げ出したい気持ちだってあって当然だ。
真実を知るために、自由を手にするために俺たちは幾つの仲間の屍を越えて行くのだろう。
「―――――それは御免だ。」
「………えぇ………ちょっとショックですよ、拒否されたら………。」
身体を丸めて拗ねたように頬を膨らませるナナを、抱き上げる。
――――――また軽くなった。
無理もねぇが、これ以上痩せたら身体に障るだろうと心配になる。
「う、わぁっ………!」
「―――――猫になんてなっちまったらできなくなるような、イイコトをするんだろう?これから―――――夜が明けるまで―――――時間はたっぷりある。」
「…………!」
ナナは一瞬目を丸くしたが、すぐに理解したように、ふっと目を細めた。