第47章 繙
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ナナの目がとろんと蕩けて、身体の力が抜けていることがわかる。
「もう酔ってるのか。」
「……酔ってますか、私……?」
話かけると俺のほうに顔を向けるが、視界がついてくるのが遅いのか、少し戸惑うように何度も目線を往復させた。
その後小さな笑いを堪えられないようにして、話し出した。
完全に酔ってやがる。
「――――アルコールが血液を介して脳にまわって――――――、今、私の脳は少しずつ、麻痺していってるということ、ですね………。心の内を曝け出したり、高揚したり、嫌な事を一時的に忘れたりできる――――――辛いことがあってお酒に頼る人は多いけれど――――――、なるほど、これは確かに悪くない、です………ふふ………っ………。」
「―――――酔っ払いじゃねぇか。」
「……リヴァイさんは、アルコールを分解する力が、強いのですね。………全然、変わらない―――――、ねぇ、楽しく、なって来ないですか?」
俺をちらりと見上げて問う。
「来ねぇな。まぁ、いつもと違うふにゃふにゃしたお前を見てる分には楽しいが。」
「―――――………ふふ。」
ナナはカップを置いて、ソファにころんと寝転んで猫のように身体を丸めると、俺の腿に頭を置いた。
「―――――おい、何してる。」
「――――……甘えてます。」
「…………。」