第47章 繙
「これが―――――様々なものを図解してあり、辞典のような………ものなのですが……。」
分厚い書物をパラパラとめくっていくと、強く開いた跡がついているのか、自然にそのページが開かれた。
「――――――これは、なんだ……?」
「――――――科学の力で空を飛ぶためのもののようです。」
「―――――確かに空からなら、巨人の手を逃れて自由を手にできるな。」
「はい、ここは特に何度も開かれた跡があり―――――私の友人と、その研究仲間で―――――もしかしたら、なにかを試みようとしていたのかもしれませんね。空から、外の世界を見に行くつもりだったのでしょうか―――――。」
「研究仲間がいたのか?」
「――――はい、私もこの日記を読むまで知らなかったのですが、2人の男性の名前がよく登場します。アーサー・ウィルソン。そして、フリゲン・ハーレット。」
その名前を聞いたとき、記憶の片隅の更に小さな引き出しの中にしまわれているような、ごく僅かななにかが頭の中で小さく主張した気がした。
「………アーサー・ウィルソン………?」
「………どうか、しましたか?」
「―――――――いや………その、名前を………どこかで………。」
私が頭の中のあらゆる情報から模索していると、ナナもまた驚いた顔をして私の方を見つめていた。
「奇遇です―――――、私は、フリゲン・ハーレットの名前が、なにか引っかかっているのです……。なんでしょうか、この奇妙な………感じは………。」
「―――――私も過去を遡ってみよう。なにか思い出したら、君に話すよ。」
「はい、私も―――――……。あと、もう一人――――――、私のよく知った人物の名前が、なぜか書かれていて―――――――。」
そして、ナナはあるページを開いた。