第1章 出会
俺が紅茶を飲み干しテーブルにカップを置いた。同時にワーナーはもう冷めているであろうカップをゆっくりと持ち上げ、さらにゆっくりとカップに口をつけた。
「お前は本当に、賢い子だ。」
ワーナーは今まで見たことがないくらい、優しく笑った。だが、どこか悲しそうだった。
「あ?」
「なぁリヴァイ。前にも言ったが……地上に出て、生きていく選択肢はないのか?お前は強い。そして賢い。ここではない居場所が、きっとあるはずだ。」
地上に俺の居場所が?そんなもの、欲しくもねぇ。声には出さないが、俺の思考は読まれているようだった。
「……まぁいい……決めるのはお前だ。」
ワーナーは黙って紅茶をすすった。
「……話を逸らすんじゃねぇよ。あのガキは、なんだ。」
「…………強いて言うなら………自由への翼を開こうとしている、ヒナ鳥だ。私は空の高さを教えている…。飛び方を教えてやることは……できないがな。」
ワーナーは遠い目をしていた。
「気になるなら、また来るといい。彼女は毎月最後の木曜日の朝、ここに来る。」
「……ちっ…………。」
言う気はないということか。まあいい。じじぃが面倒事に巻き込まれようと、俺には関係ねぇ。
俺はワーナーの家を後にした。