第47章 繙
書物を眺めていると、部屋の扉がノックされた。
「――――――はい。」
「ナナさん、ペトラです。」
「――――――ペトラ?どうぞ。」
扉を開けるとそこには、帰省支度をしたペトラがいた。
「ああそうか、帰るんだったね。―――――どうしたの?」
「はい、これから発ちます。これ―――――。」
その手に握られていたのは、あの日に貸した三角巾だった。
「ちゃ、ちゃんと洗ったんで!!!三回くらいっ……!」
ペトラは顔を真っ赤にして俯きながら、わたわたと焦った様子で言った。
「ああ、わざわざありがとう。」
小さく微笑んでそれを受け取って、その薄いブラウンの髪をぽんぽんと撫でた。
「―――――ペトラ、生きていてくれて―――――ありがとう。」
「――――――……っ………。ナナさんも………、リンファさんも……!」
その言葉を聞いて、部屋の奥のベッドで横たわっていたリンファも小さく笑った。