第46章 潜思
「……ぅわっ………、お、も………っ………!」
「………ふ…………。」
「!!」
笑った……?起きてる!!!!
そう感づいた時にはもう、悪戯な目が私を見下ろしていた。
「お戯れが過ぎます。どいてください……!」
「君のせいだよ。」
「は………?」
「私が独りで包み隠して強がってきた部分を暴いて、受け止めようとしただろう。――――――嬉しかった。歌を聞いて気を紛らわせようとしたが、ダメだった。」
ゾクリとしたのは、いつもの私をただからかう時の目じゃなく、そこに確かに色欲を滲ませていたから。
大人の、色気の使い方を知り尽くした男の目だ。
「壁外調査の前後は――――――昂るんだ。気を付けた方がいい。特にこういう、狡賢い男には。」
「なにを―――――――………ん―――――――っ…………。」
悪戯に唇を触れさせた、以前のそれとはまったく違う口付けに、心臓が爆発しそうになる。
大きな手で顎を掴まれ、その口が開かれる。
最初から喰らうつもりで舌が割り込まれ、歯列をなぞられると身体がぴくんと跳ねてしまう。
ドクン、ドクンと心臓を握られているかと思うほど収縮する鼓動が、苦しい。
「ふっ………ぁ、………やめっ………はぁ………っ!」
「―――――はは……可愛いな―――――……。」