第46章 潜思
「―――――もっと憔悴するかと思って心配していたが………気を持ち直したのか。」
「はい――――――、リヴァイ兵士長が、教えてくださいました。自分自身を見つめて、自分自身で立ち上がるためにどうすればいいのか………。」
「………リヴァイが……?」
「はい。」
「―――――本当に頼もしいな、うちの兵士長は。」
エルヴィン団長がどこか嬉しそうに微笑む。
「そうだナナ、この報告が終われば、生きて帰れたらしたいと言っていたことをしようじゃないか。」
「はい……、そうでした……。」
「―――――……………。」
エルヴィン団長が少しその凛々しい眉を下げて、困ったような表情を見せながら私の頬を大きな掌が包み、すり、と頬を撫でた。
「どうか、しましたか……?」
「無理もないが――――――、やはり元気がないと思ってね。」
「………それは…………。」
いくら頭で整理していても、気持ちがついていっていない。
「――――――いつもの君なら、この手を払うじゃないか。」
「……………。」
なんと答えていいかわからない。
まだ頭がうまく回らない。
ぼんやりとしていると、腕を引かれてその広い胸の中に閉じ込められた。
「―――――弱っているところにつけ込むようで悪いが、少しだけ、こうしていてもいいだろうか。」
「――――――………。」
なぜか、ほんの少しエルヴィン団長の身体が震えているような気がした。