第46章 潜思
自室に戻り、記録を全て見返してから団長室に向かった。
詳細の報告をしなくてはならない。
負傷者や殉職者、装備の修理など壁外調査後の雑務は多々あれど、今回はリヴァイさんがそれを引き受けてくれるそうで、私とエルヴィン団長は報告に専念することになった。
「―――――疫病の発生源になるような状態は完全に0ではないものの、ほぼ問題なしとみて良いと思います。以上が、私の所見です。」
「ご苦労だった。あの短い時間で――――――あの残酷な様子を受け止め、よくここまで記録や分析をしてくれた。君を行かせて良かったよ。礼を言う。」
「―――――勿体ないお言葉です。」
「報告書への記載にそのまま転用できそうに書いてくれていることも助かるよ。」
「いえ………お役に立てたのなら何よりです。」
「―――――巨人との遭遇率と、現状の生息状況だが、どう見る?」
「―――――はい、過去のウォール・マリア外の壁外調査での遭遇率等と比較してみたところ、少ないとは感じます。奪還作戦での討伐が功を奏していると思いたいですが………ただ、巨人の発生源が不明である以上は、なんとも結論がつけがたいですね。通説である、巨人が南からやってくる率が高いという点で行くと、次回は近いうちに反対の北側に調査を出してみるのも手かと思います。」
「――――なるほど、奪還作戦は南に多く出撃はしたが、ほぼまんべんなく全方位に同じくらいの討伐数を出せているからな。」