第46章 潜思
「――――リヴァイ、兵士長……?」
「………なんだ。」
「ウォール・マリア奪還作戦で……母を――――――守ってくれて、ありがとうございます。」
「――――――あぁ。」
「なぜ、わかったんですか?」
「―――――一目見りゃわかる。そっくりじゃねぇか。」
「でも―――――リヴァイ兵士長の班は、別行動だったはず………。」
私の問いに、リヴァイ兵士長は少しマズそうに視線を横にずらした。
「―――――移動中、遠目にお前が巨人に襲われてると思った。―――――気付いたら任務も立場も全て放り出して、助けに行ってた。――――――兵士長失格だ。」
「―――――………。」
「―――――あんな感情に任せた行動は二度としない。俺の行動で何人もの兵士が死ぬ。作戦が失敗する可能性すらある。――――今後お前が例え危険な目に合っていても、最優先で守ってはやれない。それを心に留めておけ。」
「―――――はい。」
「―――――勘違いするなよ。決してお前を軽んじてるわけでも、愛してないわけでもない。」
「――――大丈夫、わかっています。」
リヴァイ兵士長の中で、兵団が占める重量がどんどん大きくなっていっているのがわかる。
兵士達からの人望とエルヴィン団長からの信頼。
そんな大きなものと、私一人の重さなんて比べるまでもないことは重々分かっている。
これが、良い距離感なんだと思う。
そしてこれが、“リヴァイさんの横に並ぶ”ということなのだろう。