第46章 潜思
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―――――エルヴィン団長とリヴァイ兵士長の厳しさを、身をもって感じた。今まで私は大層甘やかされてきたんだと思う。
でも、その厳しさが私の心を強く、逞しくしてくれる。
アウラさんを救えなかった。それは事実だ。
でも感情ばかりに引っ張られて、本当に大事なことを見失ってはいけない。
これから先、何人もの負傷者が同時に出た場合、私は命の優先順位をつけることになるのだから。
助かる見込みがあるのか、ないのか。今持てる装備でどこまでの処置ができるのか。様々な角度から冷静に考え、動く。
自分のやりたいことではなく、すべきことを見誤らない。
アウラさんの容態は、今冷静に考えれば、どう見ても助かる見込みがないものだった。
あの時私は手の施しようがないことに対して焦り、取り乱すのではなく、安らかにアウラさんが目を閉じれるように振る舞うべきだった。
アウラさんは私が取り乱していても、自分のことを客観視して、最期まで愛する人のことを想いつづけた、彼女らしい引き際だった。
これからもこうして、たくさんの仲間の死を目の当たりにしていく。
心と頭は切り離して、最善を尽くすことだけを考える。
この大きな犠牲を絶対に、無駄になんかしないと誓う。
リヴァイさんの鼓動を感じることができて、驚くほど自分が落ち着いていくのがわかる。
身体を離したあと、戻ったら聞きたいと思っていたことを口にした。