第45章 一歩
―――――――――――――――――――
「―――――ジェロンとアウラが死んだ?」
「―――――ああ。」
リヴァイがいち早く団長室に来て、その成果を問う。
成果としては目的は達したが、失ったものも大きかった。
「――――他には。」
「アルトが再起不能の重症、イルゼが軽傷だ。ナナに怪我はない、が――――――――。」
「―――――が、なんだよ。」
「―――――崩れる、だろうな。」
「どういうことだ。」
「―――――アウラがナナの処置もむなしく目の前で死んだ。そして、ダンが肉塊に変わり果てた姿や――――――心を抉るには、まぁ十分すぎるほどだったな。」
「―――――あいつが望んだことだ。乗り越えるだろう。」
「そう、だといいが。」
リヴァイが少しだけ天を仰いで、小さくため息をついた。
「――――――奇行種は見たのか?」
「ああ。1体見たが、全くもって異常な行動は見られなかった。やはりジャックが特別だったのか――――――。」
「―――――クソ気持ち悪ぃ話だな………。」
「――――さて、年内報告が義務付けられているからな。これから私は急ぎ報告書を書く。事後処理はお前に任せていいか?」
「ああ。そのつもりだ。」
「恩に着るよ。」
「――――事後報告に、ナナのとった記録を掘り返すんだろ。」
リヴァイが腕を組んで私を見上げた。
「ああ。」
「―――――無理をさせるなよ。」
「了解だ、兵士長。」