第45章 一歩
「あと30分で全ての記録と調査を終わらせ、帰路につく!ロキはそのままナナバの班につけ!オリバー、ナナに指示を受けて記録と調査を手伝え!」
「はいっ!ナナ、宜しく頼む。」
「は、い…………!」
私の顔を見て、オリバーさんが背中に手を添え、小さく呟いた。
「――――――辛いよな。でも、アウラの死を無駄にしないためにも、やろう、ナナ。」
「―――――はい、オリバーさん……っ……!」
それから30分、巨人の襲撃を受けることもなく予定していた調査は完了した。
「―――――帰路につく!!配置につけ!!このまま休憩はとらず、帰還を目指す!!」
エルヴィン団長の号令の元、隊は帰路につくための移動を開始した。あともう数十分走れば辿り着ける、そんな時、前方2方向で赤色の信煙弾が放たれた。
「―――――挟み撃ちか、避けられない。オリバーはサッシュの班へ、ミケはリンファの班へ伝達を頼む。“討伐せよ”と。必要なら加勢してやってくれ。」
「はっ!」
「承知した。」
2人が移動を開始してすぐ、リンファの隊から更に黒色と紫色の信煙弾が放たれた。
「―――――!!」
「こんな時に……奇行種か。」
ミケさんがチラリとエルヴィン団長を振り返った。
「奇行種も含めて討伐しろ!!」
エルヴィン団長の指示を受けて、ミケさんは大きく手を挙げて駆けて行った。