第45章 一歩
――――――――助からない。
直感でそう感じた。
大きく欠損した部分からはすでに大量の血が失われている。
でも、諦めない。
やらずに諦めてたまるか、助けるんだ、私が。
アウラさんの意識を繋ぎ止めるため、大きく呼びかけながら震える手で止血するための道具を探す。
「アウラさん!気をしっかり持って、助ける!!助かるから……!聞こえる?アウラさん……っ……!」
急いで止血を試みる。
腿の付け根を縛りたくても、もうそこが――――――縛れる場所すら、ない。
涙で前が見えない。
泣くな、泣くな、泣くな。
私が泣いたら、アウラさんが不安になる。
「―――――ね………、も……いい………。」
「アウラさん!大丈夫、ちょっとした……っ……怪我だから、私が、治すから……っ……!」
「言った、でしょ………あたし、思ったより………自分のこと、わかって……る……。脚、も……ない………、目も、見え………な………もう、死……ぬ………。」
血を流し過ぎた。
その顔から、血色が失われて青白くなっていく。
「嫌だ、嫌……!アウラさん、死んだら……だめ…っ……!」
「―――――リヴァイ………悲しんで………くれ、る…かなぁ………。」
その言葉を最後に、アウラさんの目から光が失われ、呼吸が止まった。
「やだ、いや……っ、………あぁぁぁぁああああっ……………!!!」
「――――ナナ、離れろ。アウラは死んだ。」
アウラさんの身体にしがみついて泣く私の肩を掴んで、エルヴィン団長が引き離そうとするが、私はそれに抵抗した。