第45章 一歩
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小さな調査隊は平野へ駆け出した。
ついこの間まで人が行き来していた道や、廃墟を抜けていく。小一時間馬を走らせたところから、徐々に目につく人の死骸―――――――そのほとんどが、白骨化している。
もうあれから半年近くが経過したのだから当然の光景だ。
巨人の姿も見えず、奪還作戦は少なからず巨人の討伐の意味を成していたのではないかと期待したその瞬間、本隊の左手前方から赤い信煙弾が放たれた。
すかさずエルヴィン団長が隊の進行方向を指示する煙弾を放った。
今あの煙弾の下で、戦っているかもしれない――――――
「………サッシュの班だな。」
ミケさんが小さくその名を呼んだ。
私が不安げな顔をすると、それに気付いたのかミケさんは私に向けて大丈夫だ、と頷いてくれた。
そうだ、紫色の信煙弾が放たれたわけじゃない。みんなを信じて、私たちは前に進む。
それから数十分、二度ほど信煙弾が放たれて進行方向を変えはしたものの、大きな戦闘やダメージはなく目的地付近までやってきた。
そこは廃村で、拠点設営をしていたところを巨人に急襲でもされたのか、多くの白骨が転がっていた。
腕だけ、脚だけ、など主すらわからないそれらが散乱しているさまは、見るに耐えない。
けれどやるんだ、私の仕事を。
「―――――一時間移動を中止!調査にあたる!!各隊、見張りの配置につけ!!!」
エルヴィン団長の指示を持って、調査場所への巨人の急襲を避けるように見張りが配置された。