第45章 一歩
ナナに幸せを感じさせることができたのも、一応はクソメガネの助言があったからな。
思い返してみれば、こいつの言葉に何度も救われて、考えさせられてきた。
エルヴィン同様こいつも間違いなくイカれてるが、信用に足る―――――――大事な存在だ。
礼を言ったつもりだったが、ハンジは目を見開いて驚きの表情を見せていた。
「―――――惚れちゃうじゃないか!!」
ハンジは俺の肩に腕をかけて、ぎゅうぎゅうと暑苦しく抱きしめてくる。
「離せ、そしててめぇまた風呂に入ってねぇな?」
「えっ、あ、バレた?いやぁもうジャックに出会ってから色んな考察が捗っちゃって……。」
「―――――行くぞ、エルヴィンがいない間は俺達が調査兵団を守らなきゃいけねぇんだ。」
「はいよ!!帰ったら次の奇行種捕獲の作戦立てようよ!」
「その前に風呂に入れ。」
ナナが俺の世界を変えたことで、白黒だった世界に彩りが増えていくように、守りたいものが増えていく。
調査兵団というものの重さが増していくことに、喜ばしくも不安がよぎる。
もしその重さがこの手に余ったら、俺はどんな選択をするのだろうか―――――――