第45章 一歩
「あんたが死んだら―――――っ………リヴァイはきっと泣くから………っ………死ぬな!絶対に……!死んだら――――――許さない。」
その言葉の強さから、彼女がどれほどリヴァイさんを愛しているのかがわかる。
不器用で一途で、なんて強い想いだろう。
私はその言葉の重みをしっかりと受け取った。
「――――――はい。」
アウラさんは愛馬にたくさん話かけていた。前にもこの光景を見た。アウラさんは本当に愛情深い人で、誰よりも厩舎に通い、愛馬を世話して心を通わせている。
それを真似て、私も愛馬に語りかけた。
「―――――今日は、よろしくね。あなたのこと、信じてる。」
艶やかな葦毛と優しい瞳をした愛馬は私の小さな不安を感じ取ったのか、頭をすり、と寄せてくれた。愛馬を連れ、集合場所へ向かう。
エルヴィン団長の側に、リヴァイ兵士長がいる。
立体機動装置をつけていない姿が、一緒には行かないことを強く認識させた。
もしかしたら―――――――この目でその姿を見る事が最期になる―――――――そんな恐ろしい想像が沸き上がった瞬間、そんな影を追い払うように私の背中がバシッと叩かれた。
「ナナ!!!調子はどう?!」
「―――ハンジ、さん……。」
「緊張してる?」
「―――――少し。でも、大丈夫です。」
「そりゃするよね。初めての壁外調査、初めての壁の外だもんね。」
「…………。」
私は静かに頷いた。