第44章 The Gift for you
「ナナさんが惚れるのも――――――納得です。」
急に私の話題になって、思わず赤くなる。
「うん――――――……好きで好きで、たまらない………。」
目を斜め下に伏せつつ本心を零すと、オルオは両手で自分の顔を覆ってしまった。私はなにかまた変な事を言ったのだろうか。
微妙な空気をどうしようかと思っていると、オルオは急に私の手を握り、大きな声で言った。
「明日の壁外調査………っ………!リヴァイ兵長の代わりに、俺が……っ……ナナさんを守るんで………っ……!安心して、くださいね………!!」
声の大きさにびっくりしていると、そのオルオの肩にサッシュさんが肘を置いて意地悪な顔をした。
「往来で何やってんだよクソ天パ。」
「ちょ、サッシュさんやめてくださいよ……!今俺カッコつけたいところなんすよ……!」
「ちょっとサッシュ、可愛い後輩の頑張りを踏みにじんのやめなよ。」
「リンファ……!」
この空気をなんとかしてくれるリンファが来てくれて、ちょっとホッとした。
「そうか、ここにいるのは明日全員出陣だね。」
「ああ。」
「そうっすね……!」
「………うん。」
「――――――またここで笑い合えるよう、生きて帰ろう。」
リンファの言葉で腹を据える。
いよいよだ。
願わくば誰も死んで欲しくない。
そうならないために私が行く。
どんな状況であっても諦めず、自分の武器を駆使して救える命を救ってみせる。
そして――――――自分も死なない。私が死んだら、愛しいあの人が、家族が、悲しむから。
「ほら、明日万全な体調でいるのが優先だ!!散って!!寝ろ!!はいおやすみ!!」
リンファはサッシュさんとオルオを遠ざけるように手で払うと、私の手を引いて部屋に帰った。