第44章 The Gift for you
「―――――調査兵団にとっては願ってもないことだが―――――――君にとっては今後、試練になるかもしれないね。」
「え………?」
「辛くなったら、いつでも私のところに来るといい。」
「……………。」
「さぁ、今日はもう終わろう。明日に備えて早く眠るといい。」
「は、はい。それでは……また明日。おやすみなさい。」
エルヴィン団長の意味深な言葉に少し動揺しつつも、執務の終わりを言い渡された私は団長室を出た。
自室に戻るために廊下を歩いていると、後ろから声をかけられた。
「あっ………ナナさん!」
振り返ると、先ほど話題に上っていたオルオが私の方に駆け寄ってくる。
「あれ、ナナさんピアス……開けたんすか?」
「うん。そうなの。」
「………相変わらず女神です。」
「あ、ありがとう……。」
あまりにオルオが目を輝かして真っすぐに言うので、どういう反応をしていいかわからず曖昧に微笑んだ。
「あれ、そういうオルオ、髪型変えた?」
くるくるふわふわした巻き毛が耳の側まであったのに、横や後ろが刈り上げられている。
これはまるで、リヴァイさん……を、意識しているのだろうか……?
「そうなんっす!俺、リヴァイ兵長を目指してて……っ………!あの人本当にすごくて、立体機動も斬撃も――――――判断も指示も、何もかも尊敬するとこばっかりで………。」
興奮して話すオルオに、顔が綻ぶ。
愛する人を慕う人がいるのは、こんなにも嬉しいことなんだと知る。