第44章 The Gift for you
エルヴィン団長は笑いながら、手元の資料に目を落とした。
空いたコーヒーカップを下げようと横に寄ると、その手にはオルオの成績や特徴を記した兵士名簿が見えた。
「オルオ、立体機動もすごくうまくなっていて―――――すごい勢いで力をつけていると、周りの子達が噂していました。頼もしいですね。」
「ああ――――――リヴァイと一緒に奪還作戦に出してからだ。」
「そうなんですか?」
「リヴァイが指名した。オルオは精鋭の中に置くことでより伸びると。言った通りだった。あいつ以上に兵士長に適任な男はいないと、そう思うよ――――――。自身の能力もさることながら、人を伸ばす術を先天的に持っている。元々は人を寄せ付けず、一切他人に気を許さないところがその能力の発揮を阻害していたが――――――。」
「…………。」
「ナナ、君のおかげでリヴァイは人と関わり、信じ、守ることを学んだ。自分自身の在り方を変えようともしている。人望が生まれ、カリスマ性が備わりつつある。もはや調査兵団にとって不可欠な、唯一無二の存在だ。」
「………すごい人です、リヴァイ……兵士長は………。私のおかげなどではなく………元々が情に厚く、面倒見の良い人なので……それを思い出しただけだと思います。」
確かに、目に見えてこの調査兵団の中でリヴァイ兵士長への信頼は増していると感じる。
リヴァイ兵士長からも兵士に自ら声をかけて訓練中に指導することも増えたし、なによりその指導を受けている兵士の皆さんの表情がとても嬉しそうで。
私もそれがとても、嬉しい。