第44章 The Gift for you
「王都から戻る前に、王都の地下街の友人の家に訪れたんです。その友人は―――――私に外の世界の事を教えてくれた人で―――――、たくさん書物を持ち帰りました。良ければ一緒にご覧になりませんか?―――――クリスマスの絵本も含めて。」
「それは楽しみだ!いいね、楽しみがあれば生きて帰る気持ちも強く持てる。」
エルヴィン団長の返答に、私も思わず嬉しくなる。温かな雰囲気の中、別の話題を切り出したのはエルヴィン団長だった。
「それはそうとナナ、最近――――――リヴァイが変わったと、思わないか?」
「えっ………?」
「思い当たることはないか?」
「…………。」
私は思わず赤面して俯いた。言えるはずがない。情事の時に優しくなったなんて………。
「………思い当たるところはありそうだな。」
エルヴィン団長はふふ、と笑った。
「この壁外調査のことも、絶対に反対すると思っていた。ナナを出すことはもちろん、自分がいない調査にナナを出す事なんて絶対に許さないと。」
「―――――はい、私も不思議でしたが―――――……私の意志を、尊重するつもりでいてくれているんだと思います。それが本当に、嬉しくて。」
「そうか。」
「―――――それに、エルヴィン団長がいるから、私を送り出せると言っていました。――――――エルヴィン団長のこと、信じているんですね。」
「ああ、それはなかなか嬉しいがプレッシャーだな。」
「あと、誕生日を祝うメッセージを伝言したのですが、『祝う気があるなら高い酒でも持って来い』だそうです。」
「ははは、あいつらしいな。」