第44章 The Gift for you
「似合いますか?」
ナナがまるで少し大人になっただろうと言うように、上機嫌に両耳を交互に見せてくる。
「ああ、似合ってる。」
「嬉しいです。」
俺が邪な気持ちで贈ったとも知らず、ただ無邪気に嬉しそうに喜ぶナナを見てわずかに良心が痛む。
容易く外せないよう、その身に俺の印を埋め込んで、鏡を見るたびに自分が俺の物であることを思い知ればいい。
ナナを縛らない、そう決めたものの、長年培ったこのどうしようもない支配欲はそう簡単に全てを払拭できるはずもない。
ナナの耳にそれを貫通させた時、俺は間違いなく興奮していた。
ただ――――――これをナナが自ら外して、俺の元を去る時が来ても、決してその決断を踏みにじることだけはしないと固く誓う。
頭の中で言い訳と葛藤とを繰り返していると、ナナが俺の上に乗って首に腕を回して抱きついてきた。
「―――――嬉しい。リヴァイさん、ありがとう。大切にします。」
明日が調整日ならこのまままたもう一回しけこむところだが、さすがに壁外調査前日にナナの身体を酷使するわけにもいかない。
小さく啄むように口付けをして、その身を離した。
「―――――じゃあ、私は部屋に戻ります。」
「ああ。――――――最高の誕生日をありがとう、ナナ。」
俺の言葉に頬を赤く染めて満面の笑みを見せ、服を整えてナナが部屋から出た。
傾き始めた月が俺を見ているようだった。