第44章 The Gift for you
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「―――――わぁ……っ……キレイ………!」
ナナはそれを見た途端、目を輝かせて箱の中を覗き込んだ。
「―――――無理につけろとは言わない。気に入らなければ売り払え。」
ナナがピアスを開けていないことも分かっていたし、イヤリングに加工してやることだってできたのに、敢えてピアスのまま贈ったのは俺の中の僅かに残る支配欲のせいだ。
「そんなことするはずないじゃないですか!つけたい……これ……。」
そう言うと思った。
まるでそう誘導したようにナナの言葉を引き出し、心の中でほくそ笑んだまま次の言葉を繋ぐ。
「――――――つけてやろうか。」
「いいんですか?」
「耳、貫通することになるからな。痛ぇかもしれねぇぞ?」
「大丈夫です。………リヴァイさんに、つけて欲しい。」
「貸せ。」
ナナを座らせ、白銀の髪を反対側に寄せて、右耳を露わにする。ピアスの尖った先端を柔らかい耳たぶに当てて、耳元で覚悟を促す。
「―――――いいか?」
「は、い………!」
「――――――お前の身体を貫くのは、俺の役目だからな―――――。いくぞ。」
「……んぁ……っ……!」
ナナの耳にピアスを埋めると、ブツッという感覚と共にそれは貫通し、じわりと滲んだ血を舐めとる。
「痛いか?」
「―――――思ったより、全然平気……です。」
何かの儀式のように静かで冷たい空気の中、反対側の耳にもそれを貫通させ、俺は妙な高揚感を感じていた。