第4章 再会 ※
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俺たちは兵舎に戻るべく、馬を駆った。
「いやぁ~、ナナの啖呵、痺れたねぇ!!最年少医師になるってのも、簡単じゃぁなかっただろうに。見た目から想像できない、秘めた炎が滾ってた。あんな子、そうそういないよね。」
「全くだ。」
「ガキの、戯れ事だろ……。」
「そうか?私は、彼女を欲しいと思うぞ。」
「………そうだよねぇ。私も欲しいよ。調査兵団に入ってくれないかなぁ!!」
「そうだな。調査兵団にも必要だ。」
エルヴィンの言葉に、俺は奴を鋭く睨み付ける。
その言葉で、俺をどう動かしたいんだ。
……本当に、とことん底の読めねぇ男だ。
兵舎に着き、一度自分の部屋に戻る。
俺を含めて四人で生活する部屋だ。兵服に着替え、午後の訓練に途中から加わる。巨人の模型のうなじを、いつもに増して削ぎまくった。
イライラしていた。
ナナの腕に抱かれ、初めて「悲しい」という感情を見つけた。あの雨の日のまま、俺の視界には色もなかったが、俺の中のイザベルとファーランが笑ったことで、少しだけ視界が晴れた気がした。
そこまでは良かった。
俺の苛立ちは、あの執務室から今も俺を見下ろしているあいつの言動によるものだ。
なんと名をつけて良いのかわからないこの仄暗い感情を、俺は持て余していた。