第42章 急場
「そんなにキラキラされちゃ、ダメとも言う気にならないよ。了解、団長。」
「そうか、理解してくれて嬉しいよ。ではミケ、ナナ、これから準備が忙しくなるが、宜しく頼む。」
「――――承知した。」
「は、はいっ……!」
心臓がうるさい。とうとう行くんだ、壁の外へ。
胸を押さえて一点を見つめる。汗が滲むようだ。
きっとそこは今、地獄絵図だ―――――――、救いたいと願った人たちが、大量に屍になって転がっている。
気を強く持って、私に期待されたことを成し遂げる――――――そう、固く誓った。
話がまとまって、幹部会は解散した。
ミケさんは小さくよろしくな、と言って私の頭を撫で、ハンジさんは去り際まで私を勇気づけようとしてくれた。
リヴァイさんはいつもの様子で何か言いたげに私を見つめて、感情を抑え込むようにして去っていった。
団長室に残ったカップを片付けていると、エルヴィン団長から声がかかる。
「――――――急な話で済まないね。」
「いえ……っ………ずっと望んでいたことですので………!」
「―――――怖いか?」
「…………本音を言えば、少し……怖いです。でも――――――私だからやれることを、やりたいと………そう、思います。」
私の返答に、椅子をキイ、と傾けて少し嬉しそうにエルヴィン団長は笑った。
「君は強いな。―――――だから、欲しくなる。」
「や、やめてください………私は――――――。」
リヴァイさんのことを想っていると言おうとして、言葉に詰まった。意外にもあっけなくリヴァイさんが、自分が同行しない壁外調査へ私が出る事を了承したことも相まって、少し動揺していたから。
止めて欲しかった?
いや、そんなはずはない。リヴァイさんが止めたって、私は行くと言う。
正体のわからないもやもやした感情を処理しきれずにいた。
「―――――さて、これから忙しくなる。とにかく計画を練るところからだ。君にも手伝ってもらうよ。」
「……はい、もちろんです。」