第42章 急場
「えっナナ出すの?!本当に?!えっ、そんで私お留守番?!」
「ああ。ずっと機会を逃していたからな。それに――――――疫病がまだ発生しうるような状態なのかどうか素人目で見るより、ナナに見て貰ったほうが確実だろう?」
「そりゃまあ………。」
「――――――おい待てエルヴィン、なんで俺とハンジが入ってねぇんだ。」
リヴァイ兵士長がお怒りの様子でエルヴィン団長を睨みあげる。
「もしも何かあった時―――――次にこの調査兵団を率いるのはお前たちだからだ。」
「――――――――。」
それは最大級の信頼の言葉。
リヴァイ兵士長とハンジさんは思っても見なかった返答を食らったようだった。
珍しく、2人とも言葉が続かないままエルヴィン団長の言葉の続きを待っている。
「共倒れになるようなリスクは侵さない。もっと準備期間があって、大きな隊を組める調査なら話は別だが。短時間での調査だ、人類最強の兵士と人類最狂の巨人専門家がいなくても、ミケと私でなんとかなるさ。」
エルヴィン団長は薄く笑った。
「―――――なら逆でいいだろ、俺達が見て来てやる。お前はここでぬくぬくと待ってろよ。」
「―――――少し期待しているんだ、おかしな奇行種が現れるかどうか。」
「――――――………。」
「現れるのなら、見たい。その行動を人づてじゃなく自分で見て―――――暴いてやる、その真理を。」
エルヴィン団長は隠していたけれど、確かにその瞳は好奇に輝いていた。
「―――――まさかの私情かよ。」
リヴァイさんは呆れたようにため息をついた。
ハンジさんもまたあーあ、といった様子でお手上げの仕草を見せる。