第42章 急場
腕を組んだまま、ミケさんが問う。
「――――――小規模とは、どれくらいになる?」
「20名程度かな。まだ疫病の陰りもある。そこまで大人数で出さない方が賢明だろう。本隊5名、3名の索敵班を5つ……あくまで調査だ。おおよその巨人の生息状況と―――――大量の遺体がその後どうなったのか、現状が分かればいい。」
「―――――おえっ………行きたくないなぁそんな調査………。全然楽しくない。」
ハンジさんですら行きたくないと零すその壁外調査の様子を頭に描いてみるだけで肩がすくむ。
「そもそも楽しい壁外調査なんてねぇよ、楽しいのはお前だけだクソメガネ。」
「人選はもう目星をつけているのか。」
「ああ。班長にはディータ・エルド・ナナバ……サッシュとリンファ。」
2人の名前が呼ばれた時、私は動揺した。
これは昇格で、2人の実力が認められたからこそ。でも自分の判断が隊の兵士の命を背負うことを想像するだけで私なら怖い。
それに、何より―――――死なないで、欲しい。
「―――――――サッシュとリンファ……まぁ、妥当だな。あいつらの実力は周りも知るところだ。人望もある。―――――心配いらない。」
リヴァイ兵士長が淡々と補足する。
その言葉はきっと、私に向けられたものだと分かった。リヴァイ兵士長がそう言うならきっと大丈夫と、そう思わせてくれる。
「各索敵隊には新兵でも筋の良いのを3名程度は出そうと思う。オルオ・ぺトラ・イルゼあたりか。そして本隊は私とミケ、オリバー、ロキ―――――――そしてナナ。君もだ。」
「―――――――!!」
その言葉に驚いた。
まさか、自分の名前が呼ばれるとは思っていなかったから。