第41章 心奥 ※
「それは―――――残念です。」
「おい―――――聞いてたか俺の話を。煽るな。」
「まだ約束のお話をしてもらっていないので、聞かせてもらおうと思ったのに。」
私は少し拗ねたように呟いた。
「約束の話?」
「――――お母様との思い出です。聞かせて欲しかったので。ベッドの中で、たっぷりと。」
悪戯に笑うと、リヴァイさんは少し苛立ったような顔をして私を軽々と抱き上げた。
「――――わっ………。」
「――――そこまで懇願されたら仕方ねぇよな。」
リヴァイさんは私を自室のベッドに運び込み、ふかふかの枕たちにもたれかかると、両腕を広げて来い、とばかりに腕の中に私を誘う。
誘われるままにリヴァイさんに身体を預けて同じようにベッドにもたれかかると、リヴァイさんの指が優しく私の髪を撫でた。
「――――これからまだ一緒にいられるのなら、焦って全部話す必要もねぇだろ。」
「―――――はい!」
リヴァイさんは、そう言って私の髪を撫でながら、お母さんがどんな人だったか―――――あの部屋で過ごした日々のこと、お母さんの作ってくれた料理で好きだったものの話をぽつぽつとしてくれた。
修行中と言ったとおり、私の身体を求めることもせず、ゆったりとした時間が心地よく流れた。