第41章 心奥 ※
元々付き合うという定義もよくわからなかったし、愛し愛されている関係を指すのなら、私たちはまだかろうじて“付き合っている”のだろうか。
でも、それが身体のつながりや2人で同じ時間を共有することを指しているのなら、今は“付き合っていない”ことになる。
どちらにせよ、リヴァイさんが私のことをどう思っていて、どうしたいと思っているのかは、話さないといけない。
そう思った矢先、訓練後に片付けをしているときに声をかけてくれたのは、リヴァイさんからだった。
「―――――ナナ。」
「え、あっ、はい……っ……!」
「―――――立体機動、上達したな。他の奴らと比べても遜色ない。」
「は、はい……ありがとうございます………。」
「…………。」
「…………。」
沈黙の間に冷たい風が流れる。
「―――――今夜、話せるか。」
「………はい………。」
なぜ、この一言で私は泣きそうになっているのだろう。
いつもなら心躍るリヴァイさんからの一言が、こんなにも怖く感じるなんて。
強くなりたい、強くありたい、調査兵団に入ってからずっとそう思い続けて訓練にも励んできたけれど、リヴァイさんのことに関してはどうしてもダメだ。
あの頃の、無力で弱くリヴァイさんにあこがれ続けていた少女のまま、私は何も成長していない。
「――――団長補佐の仕事が終わってからでいい。遅くてもかまわない。執務室に来い。」
「………わかり、ました……。」