第40章 甘露
「元気が出ただろう?」
「はい!!!」
私の被せ気味な返事に、エルヴィン団長はまた笑う。
「――――――本当に可愛いな、君は。」
どう反応していいかわからず、ただ顔を赤くして少し俯いた。
「――――さて、私は今から15分だけ休憩しようと思っていてね、一緒にどうかな?良ければ、久しぶりに君の淹れてくれたコーヒーが飲みたい。」
「はい、もちろんです!すぐ用意しますね。」
私は少し迷った。
いつもは、エルヴィン団長のコーヒーと、自分の紅茶を淹れる。
団長補佐についてすぐに一度一緒にお茶を飲んだ時、私がコーヒーを飲めない事を隠して頑張って飲んだのだけれど、すっかりエルヴィン団長にはお見通しで、その次の日にはカップボードに紅茶が置いてあった。
私のために、用意してくれたんだと嬉しくなり、それからはご厚意に甘えて自分の分は紅茶を淹れている。
けれど―――――――
「ああそれからナナ、そこの棚に茶色い箱があると思うんだが、それも持って来てくれるか?」
「はい。」
なんだろう、と思いながら言われた通りに茶色い箱を手に取った。エルヴィン団長の元に戻り、コーヒーを差し出し、自分の分も向かいに置いた。
「ありがとう。……おや、今日は紅茶じゃないのか?」
「はい。」
「珍しいね。」
「………コーヒーの味も知ってみたくなりました。」
「………それは、私としては非常に喜ばしいことだ。」
エルヴィン団長は目を細めて意味ありげに薄く微笑んだ。
「そうだ、その箱を開けてごらん。君にあげよう。」
「はい……。」