第40章 甘露
「ひとつ確認だが。」
「はい。」
「―――――私が君の心を手に入れたら、もう一度受け取って貰えるのかな?」
「―――――………そ、れは………。」
「………ふふ、今はわからないか。では、その時のナナに聞くとしよう。」
エルヴィン団長は小さく笑った。
もう彼の中でそんな算段が付いているかのようで、不安になる。
色々あった、けれど私は変わらずリヴァイさんを愛している。
なのに、今までリヴァイさんの気持ちが変わる事ばかり恐れていたけれど、この瞬間初めて自分がリヴァイさん以外の人に気持ちが変わる可能性を想像し、少し怖くなった。
例えばダミアンさんに何度想いを伝えられようとも、こんなことは一度も頭を過ったことはない。
エルヴィン団長、だからだ。
「―――――あぁそうだ。別件で良い事を教えてあげよう。」
「??」
「今日の午後四時頃、団長室に来れるかい?」
「四時―――――はい、大丈夫です。」
私が答えると、エルヴィン団長は笑った。
「きっと君の元気が出る。―――――待っているよ。」
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ナナが団長室を後にしてから、エルヴィンが翼のネックレスを取り出し、光にかざすとその宝石が一粒、キラリと輝いた。
「――――――返されるのは予想外だったが――――――期待していた役割は果たしてくれたから問題ないか。………あくまでまっすぐにリヴァイと向き合うつもりなのか――――――いじらしいな。ますます欲しくなってしまう。」
エルヴィンは策士の笑みを浮かべた。
「―――――リヴァイはどうするだろうな、楽しみだ。」