第39章 認容
「そういえば――――ナナのおかげでさ、調査兵団の中で疫病が蔓延せずに済んだって聞いた。ありがとう。遠いところからでも、あたし達を守ってくれて。」
リンファは笑って私の頭を撫でてくれた。
「――――――いえ、私は何も………弟が、頑張った……だけで………。」
「そうなの?ナナの弟か、さぞかし優秀なんだろうね!!弟ってどんな子?いくつ違うの?」
「――――十、六で………見た目は、私と……そっくりで………。」
おかしい。息が苦しい。
「3つ下か!俺は弟とは、喧嘩ばかりだったな……。仲良くやれてるのか?弟とは。」
「―――――なか、よく………?」
「――――――ナナ、どうした?!」
視界が揺れる。
呼吸が乱れて苦しい。
私は肩を揺らして呼吸を繰り返した。
過呼吸だ。
吸えば吸うほど苦しいのに、止められない。
声を発することもできずに胸を抑えた。
「サッシュ!!!ナナを医務室に運んで!!!!!!」
「任せろ!!!」
サッシュさんの腕に抱えられ、私は医務室に運ばれた。
しばらくして目を開けると、リンファとサッシュさんが付き添ってくれていた。
「ナナ!!!」
「よ……良かった………!」
リンファはペタッと、その場に力なく座り込み、涙を拭う仕草をした。そのリンファの頭を、サッシュさんがポンポンと撫でた。
「………心配、かけて…………ごめん……なさい………。」
私は小さく呟くと、2人が声をそろえて言った。
『ありがとう、だろ。』