第39章 認容
「―――――リヴァイさんの他に、好きな人がいます。」
「―――――本当に、嘘が下手だな。」
俺が小さく答えると、ナナはいつものように眉を下げて少し笑った。
その笑顔は、一瞬で荒み切っていた胸中を晴らしてくれる。
俺が守りたいのは、この笑顔のはずなのに。
なぜいつも泣かしてしまうのだろうか。
「―――――リヴァイさんなんて、好きじゃないです。」
「…………下手くそ。」
「―――――リヴァイさんなんて、嫌いです。」
「…………言ってろ。」
「―――――リヴァイさんは変態ですし、ちょっと怖いです。」
「……………………。」
「―――――リヴァイさんは時々猛獣みたいな目をして私を――――――。」
「おいおいおいちょっと待て、身に覚えがある且つ本当に嘘かどうか微妙なところばっかりじゃねえか。」
調子よく次々出て来ると思えば、いつしか俺への恨み言になっていて、しかも昨日の今日で罪悪感がすげぇ時に言う冗談にしては鋭利すぎる。
自業自得なのはわかるが……ナナに面と向かって言われるのはさすがにキツい。
「―――――背中を向けた、仕返しです。」
ナナは少し俺を睨みあげて言った。
「………あ?」