第38章 愛欲 ※
「お前を嫌いになることはない。絶対に。―――――例えお前が他の奴に抱かれたとしても。」
呼吸が、止まりそうだ。
ほら、やはり隠しておけるはずがなかった――――――
「――――――それは、肯定の表情だ。」
「……………っ………。」
「ここまで暴かれてもまだ、言いたくないのか?」
「…………。」
私は涙を零しながら首を大きく横に振った。身体が震えるのを抑えることができなかった。
「―――――わかった。もういい。寝ろ。」
リヴァイさんは苦い顔をしてから、私に背を向けた。
今まで一度だって私に背を向けて眠ったことはなかった。
こんなに近くにいるのに、心が離れていってしまうことが怖い。
触れたくて手を伸ばしてみても、振り払われたら――――――リヴァイさんに拒否されたら、私は息ができなくなってしまうんじゃないだろうか。
そう思うと、自分から手を伸ばせない。
「…………ごめ、なさ………っ………、ごめん……なさい……っ………!」
子供のように、ただ泣きながらごめんなさいを重ねる。
自分で身を守れなかったこと、不安な気持ちにさせたこと、あなたのためだけの私でいられなかったこと―――――次から次へと溢れ出る感情は、自責と後悔と罪悪感。
「―――――お前を、泣かせたいわけじゃねぇよ……っ………!」
片手を額に当てて俯き、切羽詰まった声をあげたのは、リヴァイさんのほうだった。
彼は起き上がって私に覆いかぶさると、獰猛に唇を塞いで呼吸を奪う。
時折噛みしめられた唇から血の味がした。
怒りすら感じるその行為から、私が彼を傷付けてしまったんだと、そう理解する。
償うために何が出来るのか――――――私には、彼が満足するまでただ身体を差し出すしか、出来なかった。