第38章 愛欲 ※
一瞬意識が強制的に遮断され、目を開けた時にはいつも通りリヴァイさんの腕の中だった。
眠ることもせず、私を見つめて髪を撫でている。
いつからこうしてくれていたのだろう。
「―――――俺の勝ち、だな。」
「え…………あ…………。」
そういえば、いつからか“兵士長”なんて言葉はどこかへ置き去りにしていた気がする。
リヴァイさんの有言実行により意識まで飛ばされ、情けないにもほどがある。
「―――――勝てるわけ、ないんです。私はあなたに何一つ、敵わないんだから………。」
少し拗ねたように俯くと、リヴァイさんの顔が寄せられ、唇が触れるか触れないかの距離で囁かれる。
「それは俺のセリフだ。――――俺にとってお前は人類最強だからな。」
「なんですかそれ……あんまり嬉しくない――――――ん…………。」
そのまま唇を奪われ、ちゅくちゅくと小さな水音を立てて体温を分け合う。
溶けそうなほどの幸せな瞬間を噛みしめるように応えていると、唇は離されてリヴァイさんが私の顎をすくって、強制的に目を合わせられた。
「―――――さて、俺の言う事を一つ聞いてもらおうか。」
「………あまりにいやらしいのは拒否します。」
「敗者に拒否権などないのは、この世の常だろ。」
「…………。」
「―――――――何を、隠してる。答えろ。」
「―――――――!」
その問に、心臓がドクンと跳ねて硬直する。
どういう顔をすればいいのだろう。
呼吸が荒くなり、リヴァイさんの目を見ることができない。
必死に考えてみても、さっきまで思考を放棄していた状態の頭でうまく考えられるわけもなく、言葉に詰まる。