第38章 愛欲 ※
「………あの………。」
「…………あ?今いい感じの雰囲気だっただろ。空気を読め。」
「………シャワーは浴びたいです……たくさん、歩きましたし……。」
「あるわけねぇだろ。ここは地下街の娼館だぞ?」
「えっ…………!」
「ヤることしかできねぇようになってんだよ。」
「…………!」
私は真紅のシーツをかき集めて、身をくるんだ。
「おい。」
「やっぱりその、ちょっと……さっきの言葉は取り消してもいいでしょうか………。」
「あ?」
「早く帰ったほうが、いいと思いますし……!」
とにかくなんとか逃げ出したくて、身を返してうつ伏せになり、リヴァイさんの腕から這い出ようと試みる。
「―――――はいそうですか、って―――――なると思うか?」
その低い声に心臓が縮む。
私は肩を掴まれてあっという間に腕の中に囲われた。
「任務放棄は許さねぇ。」
「任務じゃないです……!」
「言っただろうが、俺を満たせと。兵士長命令だ。」
「職権乱用にもほどがあります………!」
「――――――何をそんなに嫌がる。」
リヴァイさんの呆れ顔から発せられた問に、少し考え、目を伏せて答えた。
思わず本音が入り混じっていたことに、どうか気付かないで。