第38章 愛欲 ※
リヴァイさんに手を引かれたが、一瞬入ることを躊躇う。
体を強張らせた私に気付いたのか、リヴァイさんが私に向き直った。
「―――――嫌なのか?」
「………っ………嫌じゃ、ないです………。」
「じゃあなぜ抵抗する。」
「…………。」
「―――――ビビッてんのか。」
「………かも、しれません………。」
俯く私をしばらく観察したあと、リヴァイさんは私をゆるく抱きしめた。
「…………俺の我慢はもう限界に近い。」
「……………。」
肩をすくめてその声が纏う色香に耐えるけれど、さらに耳元に唇を寄せ、リヴァイさんは低い声で囁いた。
「――――――聞きたいか?―――――お前がいない間、俺が何度お前を想像して抜いたか。」
「――――――っ……!」
あまりに卑猥なその言葉に、思わず反射的に顔を上げてしまう。
それは、罠だった。
獰猛に唇を塞がれ、部屋の入口の壁に押し付けられる。
壁を背にして、人類最強の腕で逃げ道を封鎖されてしまえば、私にはもう成す術もない。
ガチャ、という鍵をかけられる音に下腹部が疼いた。
「―――――……っ、はぁ、……ぁ、…………っ………!」
魂を抜かれるんじゃないかと思うほど、全く手加減をしてくれない大人の口づけは、なんとかして息を継がなければ酸欠を起こしそうだ。
苦しくてそれを拒否するように顔を背けてみても、簡単に顎をすくわれてまた捕われる。
唾液を交換するたびに鳴る水音と、私の呼吸音に混じる嬌声がこの欲望の巣のような場所に相応しく響く。