第38章 愛欲 ※
リヴァイさんは足早に私の手を引いて、娼館街を進む。
煌びやかな外装が欲望を具現化しているようで、どうしても緊張してしまう。
この界隈の中でも特に高価そうな宿に入ると、リヴァイさんは受付に数枚の銀貨を置き、座る年配の女性に言った。
「―――――一番清潔でいい部屋を貸せ。」
「………あ、あぁ、じゃあ………2階の角部屋を使いな。」
女性は銀貨と引き換えに部屋の鍵を渡した。
女性の目が、私をつま先から頭の先まで観察している。私は目を合わせられず、ただ熱くなる顔を見られないように、俯いていた。
「―――――行くぞ。」
リヴァイさんは鍵を受け取ると、私の手を引いて階段を上がった。無言で強く引かれることが性急に求められていることを理解させ、この先の自分を想像すると心臓が破裂しそうになる。
それと同時に――――――バレないように最後までリヴァイさんに応えられるだろうか。そんな不安に駆られた。
部屋に着いて鍵を開け、リヴァイさんが扉を開くと――――――私が知っているホテルなどとは違い、大きなベッドは煽情的な真紅のシルクの艶やかなカバーがかかっており、薄く煌めく天蓋がかかっている。
決して広いとは言えないその部屋の中で、ベッドだけが主張していて、その行為のための部屋であることを物語る。
私の心臓がまたドクドクと早く脈打った。