第37章 哀悼
「―――――なぜ、そう思う……?」
俺の問いかけに、ナナは目線を斜め上に上げて昔のことを回想している素振りを見せた。
「ん……と、出会った時から思ってましたよ?子供の歩幅に合わせて歩いてくれたり、見ず知らずの子供を守るべき対象だと思ってくれたことも………きっと、昔そうやってくれる人が側にいて、愛されていたからなんだろうなって。」
「……………。」
ほんのわずかだが、自分が少しだけいいものになれた気がした。今までの俺の記憶では、俺に向けられる視線のそのほとんどは畏怖と哀れみ――――――。
愛しいというあの優しい眼差しで見つめられていた、そう思えるだけでほんの少し、過去の自分を肯定できるような気がした。
「―――――もっと聞きたいです、リヴァイさんとお母様のこと。」
「………あぁ……お前に、聞いて欲しい。」
ナナは柔らかく微笑み、俺は母の面影を重ねた。
とことん俺はこいつに敵わない。
俺の色の無い世界を、過去までも、彩っていく。