第37章 哀悼
「――――何が楽しいんだ、地下街の廃墟に行って。」
「――――私の知らないリヴァイさんを知れるかもしれないじゃないですか。こんなに嬉しいことはありません。」
「…………しばらく歩くぞ。」
「はい!!」
俺が手を差し出すと、ナナは頬を赤く染めておずおずと手を差し出した。
「なんだ、なんでこれしきの事で欲情してんだ。欲求不満か?」
「欲情……っ?!してないです……!ただそのっ………手を繋いでくれることが、嬉しくて………。」
「…………。」
「――――――今なんだか物騒なこと思いましたよね……?目が怖いです。」
「…………思ってねぇよ。」
今すぐどこかに押し込めて無茶苦茶にしてやろうかと思ったが、読まれていた。
くだらない事を言いながら手を繋いで歩く。
ナナは終始幸せそうに笑っていて、悪くない心地だ。
9年前も、こうしてやれば良かったのか……俺は小さく後悔した。