第37章 哀悼
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ナナはひとしきり泣いて、自分の気持ちにけりをつけたようだった。
俺たちはワーナーの家を綺麗に整え、その場を後にした。家を出るその瞬間、今までここで過ごした日々が思い返される。
死後の世界など俺は信じちゃいねぇが、どこかでじじぃが俺たちのことを見て、笑ってりゃいい。
――――――なぁ、じじぃ。
思惑通りになって、満足かよ。
―――――あの日の小さなガキは―――――俺の生きる意味、命を懸けて守るものになった。
あんたが教えた空の高さに目を輝かせるこいつに、自分の力で羽ばたけるよう飛び方を教え、守り導く役目は俺が引き継ぐ。
だから、安心して逝け。
―――――あんたに出会えて、良かった。
心の中で柄にもなくじじぃに別れを告げると、察したのか、ナナが俺の背中にそっと寄り添った。
「連れて来てくれて、ありがとうございます、リヴァイさん。」
「いや、俺も気になっていたからな。」
「………そういえば、リヴァイさんのお家は近くないのですか?」
「………イザベルやファーランと過ごしていた場所は近いが――――――今も俺達のあとを継いだろくでもない輩がアジトにしている。お前を連れては行けない。」
「………そうですか………。」
「俺が生まれた家は別にある………が、どうせ廃墟だろうし、少し歩く。行っても楽しいもんじゃねぇ。」
「行きたいです!」
ナナは俺の顔を覗き込んで言った。