第36章 抱擁
俺の言葉に、急にロイは俺を睨んで荒い口調になる。
「あんただな、姉さんに野蛮な物言いをさせてるのは!!!」
「あ?」
「姉さんに変なことを吹き込むのはやめて頂きたい!」
「―――――うるせぇな、こいつが勝手に感化されてんだろうが。俺が教えたわけじゃねぇよ。」
「~~~~っ…姉さん、こんな奴……!」
ロイが怒り心頭の様子でナナに目をやるが、ナナとハルは口元を押さえて笑いを堪えている。
「ご、ごめんロイ……!そう、確かにリヴァイさんは口が悪いし、乱暴だし、きまぐれだし……大変な人なんだけど。」
「あ?」
ナナまでなにを言い出すかと思えば、そろって俺の悪口じゃねぇか。なんなんだこの姉弟は。
「―――――愛してるの。だから、私が離れられないの。分かって?」
「――――――………。」
ナナが頬を赤らめて微笑む。
その様子に、ロイも何も言い返せないようだった。
「てめぇのシスコン改善に一役買ってやるよ。ナナは俺が連れて帰る。―――――じゃあな。ナナ、行くぞ。」
「………っ……!………チビのくせに………。」
「………あ?なんつった?今。」
言いやがったな。
ナナの弟じゃなきゃ、すでに地面に這いつくばらせてるところだ。
俺の苛立ちを察知したナナが、俺とロイの間に割って入った。