第36章 抱擁
「リヴァイさん!!帰りましょう!!ね!!ほら!!遅くなっちゃうし!!!」
「そうですね!ロイ様もほら、大学に遅れてしまいますわ!」
ナナとハルがそれぞれ俺とロイを引きはがした。
俺とナナが門に向かって歩き出すと、背中の方から大きな声がした。
ロイの声だ。
「――――――悔しいけどっ……姉さんはあんたの事が好きで好きでたまらないんだ………!どうか、どうか姉さんを守って。死なせないで……!僕の、大事な家族なんだ―――――。」
ナナは振り向くことはせず、黙って頬を伝う涙を拭った。俺はナナの頭を撫でて、ロイの方を振り返った。
「―――――ああ、約束しよう。安心して俺達に預けろ。」
ロイはどこか安心したようにほんの少し目元に笑みを見せながら、涙を拭った。
泣き虫なところまで、ナナにそっくりだ。
「―――――リヴァイさん、ありがとう………。」
「………行くか。」
俺たちはナナの生家を後にした。